2017年05月08日
ハーグ中心部にある「モバラク・モスク」は1955年、オランダで初めてできたイスラム教の礼拝所だ。壁には開所50年を祝って2006年、当時のベアトリクス女王が訪れた時の写真が誇らしく飾られている。
「右派政党の党首も、ここで演説をした。平和なイスラムの教えを知ってもらうために、一緒に座って話しましょうと呼び掛けているんです」
モスク指導者のサフィア・シディーキさん(27)は説明する。
60年代以降、トルコやモロッコからの移民労働者を受け入れ、オランダ国内のモスクは400以上に増えた。08年金融危機のころから風向きが変わり、「モロッコ人のクズども」と言ってはばからない極右・自由党が勢いを伸ばす。何度モスクに招いても、自由党は来ないのだと言う。
それでも「私たちのことを知れば考えは変わる。多くの人と意思疎通を深めるしかない」とシディーキさん。「欧州は友好的な社会のはずだから」
3月の下院選が近づき、候補者たちが支持を訴える。その陰で、イスラム教徒たちも学校や地域で地道に理解を訴え続けている。 (小嶋麻友美)