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上海 着任で知った処世術

2017年05月05日

 上海に来て2カ月余りだが、間もなく支局を引っ越す。現在入居するビルが競売にかけられ、新しいオーナーが乗り込んでくるなり、立ち退きを求められたからだ。どうやら全館改装して、高い家賃で貸し出そうとしているらしい。

 当初、新オーナー側は「1月20日までに退去しなければ、裁判所に強制執行してもらう」と言ってきた。契約期間が残っているのに、である。

 中国ではマスコミが入居できるビルはどこでもいいわけではなく、急に引っ越すのは無理だと伝えると、今度は「2月末までに退去するという承諾書にサインすれば、それまで待つ」とまるで違うことを言う。引っ越しの準備が整う3月中旬まで、荷物だけは置かせてほしいとさらに粘ったら、「承諾書を書くのなら」と折れてきた。

 元の契約を無視し、退去を求めてくるやり方は乱暴この上ない。しかし、こちらが主張すれば、相手はそれなりに譲歩してくることも分かった。主張しないテナントはとっくに追い出されている。着任早々の引っ越し騒動はちっともありがたくないが、この国の処世術の一端が見えた気もする。 (浅井正智)

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