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ニューヨーク ささやき 大きな転機

2017年05月06日

 ちょっとした耳元でのささやきが大きな決断につながることがある。昨年の米大統領選で敗れたヒラリー・クリントン氏にとって、1999年3月にニューヨークで開かれた「女性とスポーツ」をテーマにしたイベントに参加した時がそうだった。

 司会を務めていたのは、地元の高校生だったソフィア・ベルナーディンさん。登壇したクリントン氏から「何かを成し遂げようという意思」を感じ、当時のファーストレディーに小声で話し掛けた。「あえてチャレンジしましょう、あえて」

 その時、クリントン氏は上院議員に立候補しようかと迷っていた。大統領の妻から、自ら表舞台に出るかどうかの分岐点だった。「私が尻込みしていいのか」と出馬を決断させたひと言を「当て身を食らったような衝撃」だったと振り返っている。

 その後、上院議員と国務長官を務めたクリントン氏。今秋のニューヨーク市長選への出馬が取り沙汰され始めた。

 大統領選の後、「誰かがガラスの天井を打ち破るだろう」と第一線を退く考えを示したクリントン氏だが、今回も、その耳元でささやく人が現れるのだろうか。 (北島忠輔)