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エストニア・タリン 語学発達 歴史の事情

2017年05月24日

 旧ソ連バルト三国の1つエストニアの首都タリンは第2次大戦の空襲被害が比較的小さく、旧市街には商都として栄えた中世の面影がそのまま残る。分かりやすく言えば、ディズニーやジブリの映画の世界が現実にある。宿泊したホテルも15世紀に建てられたと聞いて驚いた。

 特にライトアップされた夜は幻想的で、タイムスリップしたかのよう。テレビの紀行番組などで取り上げられると、魅力に気付く人も増え、現地の日本大使館員によれば、日本人観光客数は毎年20%ほど伸びているという。

 街中を歩いて思ったが、ロシアに比べても英語を流ちょうに話す人が多い。取材で通訳を務めてもらったターニャさんはエストニア語、英語、ロシア語、ウクライナ語、スウェーデン語の5カ国語を操るという。

 語学で苦労するわが身を省みうらやましがると「エストニアのような国は周りと共存するしか生きていけませんから」とターニャさん。

 人口130万人の小国はロシアやスウェーデンなど支配者が何度も入れ替わった末、独立を勝ち取った。そんな周囲の大国に翻弄(ほんろう)されてきた歴史を思った。 (栗田晃)