2017年05月20日
紅海沿いの砂漠道を走っている途中、昼食のために小さな町に立ち寄った。町の名はラスガリブ。天然ガス産業で知られているそうだ。
地元の人に尋ね、味が評判だという魚料理店に入った。店内に並べてあった魚から「紅海産」をチョイス。調理人は香辛料が入ったソースをたっぷりかけて魚を火にかけた。エジプトでよく見かける調理法だ。
白身の魚はくせのない味。その分、ソースの味が口に残った。食事後、会計のスタッフがやってくる前にエジプト人の助手を席に残して先に店を出た。
助手はこのところ、まもなく離任する私に記念品を買いたいと言ってくれていたので、その代わりに昼食をごちそうになることにしたからだ。昼食の値段は聞いていない。
料理店の外は入店前と同様、ガソリンのような臭いがした。住民たちの話では、ラスガリブはいつも町全体にこの臭いが漂っているのだという。
町の名や魚の味はそのうちに忘れてしまいそうだ。しかし、ガソリンの臭いで時折、ラスガリブの昼食を思い出しそうな気がする。
(中村禎一郎)