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アンカラ 改憲論 人ごとでなく

2017年06月25日

 トルコの憲法改正を問う国民投票のためアンカラ中心部で取材中のこと。カフェや衣料品店が密集し、若者が集う原宿や渋谷のような雰囲気。その中で反対派が「Hayir(反対)」と叫んでビラを配っていた。

 突然、自動小銃を手にした警察の一団が現れ、排除しようと小競り合いになった。そばのカフェにいた女子高生(18)は「見てよ。私も反対だけど、表立っては行動できない」。最近も同級生とカフェで議論していた最中に、賛成派とおぼしき男性から「祖国が前進しなくてもいいのか」と詰め寄られたという。

 ホテルに戻り、テレビをつけて面食らった。十数年前のごみがあふれた街の様子が繰り返し映し出される。エルドアン大統領以前の時代に戻していいのか、と訴えたいようだ。声を掛けた市民は判で押したように「いつから、こんな国になってしまったのか」と嘆いた。

 実は、トルコの憲法改正は7回目。ただ、改憲案の内容よりも、エルドアン氏個人の信任投票の色彩が強かった。高支持率に支えられ、反対派の声に耳を傾けない。改憲論議が進みつつあるわが国であれば、人ごとなどではない。 (奥田哲平)