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韓国・議政府 日本と違う北見る目

2017年07月02日

 「なぜ大騒ぎしているんですか。特別な情報があるんですか」。大統領選取材で訪れたソウル近郊の京畿道(キョンギド)の議政府(ウィジョンブ)市。候補者遊説の感想を聞いた地元の男子大学生(24)から、朝鮮半島を巡る日本の喧騒(けんそう)について逆質問された。

 日本ではあたかも開戦前夜のように報じられ、在韓日本人駐在員の間でも、本人より本社が情勢を心配し退避準備を勧めてくるケースが多い。かえって不安になる人が増えているが、実は韓国での一般人の生活はいたって平穏なままだ。

 在韓米軍キャンプが集まる議政府も例外ではない。学生によると、北朝鮮が挑発を繰り返すことへの「慣れ」と、米国相手に戦争を起こすはずがないという「楽観」、侵攻されても遠くへは逃げられないという「あきらめ」があるそうだ。

 学生には私見として、個人ブログで危機感をあおる記述が行われ、政府が神経ガスの「サリン」など刺激的な言葉を使い、報道もそれを流していたことなどが背景にあると説明した。彼は状況を理解しつつも「弾道ミサイルなどの情報収集力は日本が上だから…」と納得しきれない様子も見せていた。(上野実輝彦)