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シカゴ 希望の丘 現実厳しく

2017年07月11日

 起伏のある芝生の丘に行くと子どもたちが段ボールのソリで勢いよく滑っている。米国の天気のいい休日の光景だ。

 オバマ前大統領の妻ミシェル夫人は「私が育ったシカゴのサウスサイドには、芝生の丘がなかった」と嘆いた。だから、オバマ氏はそこに建設予定のオバマ大統領博物館に「子どもが滑れる丘とバーベキューができる場所を造る」とこだわった。

 サウスサイドは、貧しい黒人世帯が身を寄せ合って暮らす。麻薬や銃の闇取引が横行し、すさんだ雰囲気が漂っている。

 政治の世界に入る前は、ここを拠点に住民と行政の橋渡しをする活動をしていたオバマ氏。実情を知るからこそ、希望を与えたかったのだろう。「スピルバーグ監督を招いて映画の作り方を学べるスタジオを造る」と理想主義者らしく語った。

 サウスサイドで暮らす黒人男性は「黒板を見るためのメガネも買えない子どもたちは、スピルバーグが誰かも知らない」と冷ややかだ。

 滑って遊べる丘ができれば、子どもたちは喜ぶだろう。だがその余勢を駆って貧困という険しい坂を乗り越えられるほど、現実は甘くない。(北島忠輔)

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