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ソウル 意味深な「頬にキス」

2017年07月08日

 韓国大統領に文在寅(ムンジェイン)氏が決まったとき、海外で新大統領より有名になったかもしれない人がいる。文氏と同じ党に所属する安熙正(アンヒジョン)・忠清南道(チュンチョンナムド)知事(52)だ。

 当確後の深夜、ソウル中心部の広場であった集会に少し遅れて現れた安氏は、壇上で祝いの言葉を述べる途中に突然、文氏の頬にキスをした。その写真が新大統領誕生を伝える米有名経済紙の一面に大きく使われ、通信社も世界に配信した。

 韓国では男性同士が人前でキスをするのか。支局の30代後半の女性スタッフは「しない」と即答し、同年の男性スタッフは少し遅れて「することもあるかな、お酒が入ると」。

 20数年前に旅行で初めて韓国を訪れたとき、男性同士が手をつないで歩いている姿を見て驚いた。今はそんな風景はなくなったが、女性同士で手をつないだり、男性同士が肩を組んだりというのはよくある。

 文氏より10歳以上若くイケメンな安氏は、党内予備選で最大のライバルだった。確執のうわさを打ち消すためオーバーな表現になったのか、いささか聞こし召していたのか。いずれにしろ韓国人の距離感の近さを再認識した夜だった。(境田未緒)