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ローマ 獄中で思索深めた跡

2017年07月27日

 今年はイタリア最良の思想家の一人として評価の高いアントニオ・グラムシ没後80周年。ファシスト政権により、共産党書記長で免責権限を持つ国会議員でありながら1926年、逮捕・収監され「この頭脳の機能を20年間止めねばならない」と禁錮刑が言い渡された。

 しかし、彼は獄中にありながらも思索を深め、病死するまで書きためられたノートは33冊。今回、初めてオリジナルの「獄中ノート」すべてが公開展示された。会場は、グラムシが逮捕前年の演説で、秘密結社規制を口実に社会運動圧殺をもくろむムソリーニを弾劾した下院議事堂モンテチトーリオ宮。

 正面玄関から赤絨毯(じゅうたん)を踏みしめて2階の「胸像の廊下」へ。ノートの実物はケース内だが、細かく几帳面(きちょうめん)な書体で書き記されたノートはデジタル化され全ページが閲覧できる。獄中で手にした100冊の書籍、雑誌も並んでいるが、予算不足でカタログがないのが残念だ。

 突然、静かな廊下に高らかな靴音が響いた。ハッとして振り返ると、ネオ・ファシスト党出身の「中道右派」議員。ギョロ目で展示をにらみつけ、足早に通り過ぎた。 (佐藤康夫)

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