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カイロ 断食やってみました

2017年08月03日

 カイロで迎えた初めてのラマダン(断食月)。いつもは茶色い街中に色鮮やかなランタンが飾られ華やぐ。日中の飲食が禁止されて苦行の印象だが、夜になれば、親類や友人を交えた断食明けの食事イフタールを楽しむので正月のような雰囲気だ。

 せっかくなので、私も前夜にたっぷり食事を取ってラマダンに挑戦してみた。出社して仕事を始めるが、糖分が脳に回らないせいか、やたらとあくびが出て集中できない。東京から原稿の問い合わせを受けた電話中、貧乏揺すりが止まらない。

 欲望と向き合い、内省する。そんな余裕はない。ようやく迎えた日没のラマダン明け。水とコーラを立て続けに一気飲みし、夕食を流し込むように食べた。心地よい眠気に誘われ、そのまま眠った。現地の医者が「ラマダンは健康に良くない」と言う意味がよく分かる。

 告白すれば、日中に「ハラーム(禁止)」のたばこを数本吸ってしまった。一緒に挑戦した妻に白い目で見られ、喫煙への依存を再認識。後日の夕方、シャッターが半開きの喫茶店で、隠れて水たばこを吸っているエジプト人たちを見掛け、少しホッとした。 (奥田哲平)