2017年08月14日
すしを食べるとき、しょうゆをつけるのはネタに、ごはんに、それとも両方? ベルリンのすし店に同行した知人のドイツ人男性に聞かれ、答えに窮した。
「手で持って先端をつける。ネタとごはんに同時にしょうゆがつく」と自己流を伝えるのが精いっぱい。40年以上日本で暮らしながら、すしの食べ方も満足に伝えられない。
「アイヌ民族が神様として敬っている動物知ってる?」。この質問にも答えられなかった。
彼は1990年代から何度も日本を訪れ、かなりの通ではある。すし屋からの帰り道、日本のバンドRCサクセションの「雨あがりの夜空に」を気持ちよさそうに歌っていた。
「ドイツで好きな料理は?」。今度はドイツについて聞かれたが「パンとか、ケーキとか」。それ以外、とっさに出てこなかった。
家に帰って、すしのマナーを調べた。しょうゆはネタにつけるのが基本だった。アイヌが敬うのはクマ。
自国の文化を伝える機会は突然やってくる。他国への関心度合いについても。せっかく外国にいるのだから、もう少し役目を果たせるようにならないと。(垣見洋樹)