2017年08月15日
移民・難民の受け入れを訴えていた英下院議員ジョー・コックスさんが、「英国第一」を叫ぶ極右思想の男に殺害されて1年。6月の週末、夫のブレンダンさんらが呼び掛け、英全土で追悼イベントが開かれた。
その名は「大親睦会」。しんみり故人をしのぶ会ではない。議会で「私たちには、分断するものより共通することがたくさんある」と演説したコックスさんの志を継ぎ、楽しく時間を共有する集まりだ。
自宅の庭を開放したお茶会から音楽ライブまで、登録されたイベントは計12万件。テムズ川南岸の一角でも、通りにテーブルが並び、公園では地元の子どもたちが、バイオリンやピアノの腕前を披露した。心が温まる1日だった。
人の善い面に着目し続け、弱者に心を寄せたコックスさんは、死後1年たっても強い共感を呼んでいる。
「共に集えば、社会はまとまる。ジョーの遺産であり、彼女も誇りに思っていることだろう」。ブレンダンさんからこう感謝のメールが届いた日、日本のニュースは、秘書を罵倒した女性衆議院議員のことで持ち切り。悲しくなった。(小嶋麻友美)