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中国・西安 「労働」後の味は格別

2017年08月12日

 中国陝西省の省都、かつて長安と呼ばれた西安で昼食時、老舗とされる食堂に入った。向かいのテーブルに座っていた中年の男性が黙々と、手元の皿にあった、焼いた薄いパンを手に取って小さくちぎっては、丼に放り込んでいた。

 「何してるんだろう」。丼の中ほどまでが、ちぎったパンで埋まると、男性は大きな声で店員を呼んで、その丼を差し出した。しばらくすると、熱々のスープで満たされた丼が再び、男性の前にお目見えした。「あれは何だ」と店員に尋ねた。西安名物「羊肉泡●(パオモー)」という。「大餅(ダービン)」と呼ばれるパンに、羊肉や春雨が入ったスープをかけた庶民の料理だった。

 早速、注文した。ちぎり始めると、パンが意外に硬い。数分も続けていると、指先が次第に疲れてきた。イライラしながら作業を続けること十数分。店員が丼を返してきた。濃厚な羊肉のスープに香菜の香りが際立つ中国式「すいとん」は、「重労働」のかいがあった。

 「ビールに合う」と思い、注文しかけて、ハッとした。そこは、イスラム教を信奉し、禁酒の習慣がある回族が経営する店だった。残念…。(城内康伸)

※●は食へんに莫

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