2017年09月19日
人通りの少ない早朝、カイロ中心部の街を自転車で走る。昼間は40度近くになるこの季節、ナイル川からの風が心地よい。エジプトは今、ちょっとした自転車ブームだ。
週末ともなれば、数十台で連なった自転車の体験イベントを見掛ける。記者が参加したのも、その1つ。主催する自転車店が35ポンド(210円)でマウンテンバイクを貸し出し、若者ら50人ほどが参加した。
渋滞や路上駐車は慢性的で、歩道は凸凹だらけ。交通法規があってないようなエジプトで、そもそも自転車の利用者は少ない。だが、最近は、親しみやすさをアピールしたいシシ大統領が自転車に乗る様子をテレビが放送するなど、政府としても推奨しているようだ。
参加者で目立ったのは10~20代の女性グループ。ヨロヨロとした運転で、乗り慣れていないのが一目瞭然だ。レハップさん(26)は「1人で乗っていると、セクハラの言葉を掛けられるから」と理由を明かす。
女性の社会進出は遅れている。「自由に乗れれば、こんな楽しいことはないわね」。政治的な思惑はともかく、彼女たちの願いをかなえる社会になってほしい。 (奥田哲平)