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ニューヨーク 回り道が教えるもの

2017年09月21日

 高層ビル群を望む芝生の広場や、元ビートルズのジョン・レノンをしのぶ記念碑「ストロベリー・フィールズ」・・・。年間3500万人が訪れるセントラルパークは見どころが多い。

 その中で私が好きなのは、数々の名所をつなぐ道路だ。真っすぐの道はほとんどない。碁盤の目のようなマンハッタンの街路とは対照的に、園内は曲がりくねった道ばかりだ。

 ベンチで隣り合わせた男性が教えてくれた。「公園を歩く時ぐらいはゆっくり回り道をする余裕を持とう、と設計されたんだ」

 地図を持たずに歩くと、なかなか目的地にたどり着けない。その代わり、散策する人々との会話が生まれ、随所にある銅像の由来を聞いてニューヨークの歴史を知った。

 原稿が進まない時、幾度となく足を運んだ。設計者の思想に身を委ねていると、リンカーン元大統領の言葉も思い出した。「私の歩みは遅いが、決して後戻りはしない」

 3年の任期を終え、ニューヨークを離れることになった。新たな地で進むべき道に迷ったときには、この親しんだ公園の光景を思い出そう。 (北島忠輔)

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