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北京 激動と不変 2つの顔

2017年09月25日

 中国では「紙、印刷技術、火薬、羅針盤」が四大発明といわれる。最近は「ネット通販、スマホ払い、高速鉄道、シェア自転車」が「新四大発明」と呼ばれている。確かに、中国のライフスタイルは劇的に変わった。

 消しゴム1つでもネットで注文し、当日に品物が届く。スマホを通じた支払いシステムが常識となり、財布を持たない人が増えた。中国全土を走る高速鉄道で旅行は楽になり、「乗り捨てOK」の格安シェア自転車を誰もが愛用する。「今の中国は欧米や日本より進んでいる」と自負する人もいる。

 特派員の任期を終えて帰国することになり、取材で通った非公認キリスト教徒の集まりにあいさつに行った。不当な強制立ち退きに遭ったり、政治活動で弾圧された人たちが多い。聖書の節を順番に朗読し、「苦しんでいる人たちのために祈りましょう」「アーメン」と静かに祈りをささげていた。

 恐ろしいほどの速さで変わる社会と、石のように変わらない体制。北京に住み「激動と不変」という2つの顔を追い続けた2年間。この地を離れても、「お隣さん」の今後を見届けていきたいと思う。 (平岩勇司)