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韓国・済州島 日韓交流は神代から

2017年10月06日

 「昔々、創造の女神がチマ(スカート)で土を運んで、海にまくと島が生まれた。真ん中に最も高い『漢拏山(ハルラサン)』を、周りにも山をつくると、そこは薬草が自生する自然の宝庫になった…」

 済州(チェジュ)島に伝わる「国生み」神話だ。物語はさらに「ある日、地中から3人の男が生まれた。容貌、体格とも優れた男たちはやがて、東の海から流れ着いた3人の女と結婚。馬や牛を飼い豊かに暮らした」と続く。

 神話の成立年代は不明だが「女」は日本人だとの解釈が多いようだ。解説してくれた博物館の職員は「済州島は日韓交流の出発点と言えるかもしれませんね」と笑顔。日韓関係がぎくしゃくする中、ほっとする話題にこちらも相好を崩した。

 だが、意外と知られていないのか済州島出身でソウル在住の知人女性は「初めて聞いた」。日本での生活経験があり、日本人ボーイフレンドがいる彼女に「結婚して日本に住むことになれば、現代版の神話だね」と話すと、眉間にしわを寄せて「はあ? 逆でしょ。男がこっちに来ればいいのよ」。忘れていた。済州島は、風が強く、女性の気も強い島として有名だった。 (上野実輝彦)