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ロンドン 米語と英語の深い溝

2017年11月02日

 米国でホームセンターを訪れた英国人が「toilet(トイレ)はどこですか」と店員に聞いたら、便座の売り場に連れていかれた-。

 英国人が米語(米国で話される英語)で戸惑う例として、よく耳にするエピソードの1つ。トイレは、米国人には便座そのものを指す単語なので、用を足したいときにはトイレがある場所の「バスルーム」などとやや遠回しな表現が好まれる。

 逆に米国人観光客は、ロンドンのそこかしこにある「toilet」の表示を珍しがり、看板の複製は格好の英国土産になっている。

 さて先日、所用があってロンドンにある米国大使館を訪ねた。受付にいきなり「toilet」と矢印付きの立て看板が。中に入ると、「ここに並んで」という意味の「queue here」という、これまた英国らしい表記が。米国なら「line up」なのだろうが。

 「米国大使館なのに、表示は英国風なんですね」と受付の男性に話し掛けると、男性はけげんな顔で答えた。「東京の米国大使館でも日本語の案内はありますよね」。なるほど、ある意味、英国の言葉は外国語扱いなわけですね。 (阿部伸哉)