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台北 こけしが取り持つ縁

2017年12月01日

 大きな段ボール箱2つが台北市士林区にある台北日本人学校に届いた。重山史朗校長が開けてみると、日本のこけしがいくつも入っていた。送り主を見ると曽文恵(そぶんけい)(91)。李登輝(りとうき)元総統(94)の夫人ではないか! こけしは伝統的なものから前衛的なものまでさまざまあった。作者なのか日本人の名前が書かれているものが多い。

 李元総統夫妻と話す機会があったので、こけしのことを聞いてみた。曽夫人は「全部で164点。誰かにあげてバラバラになってはもったいないし、日本と縁のあるものだからまとめて日本人学校にと…」。

 傍らから李元総統が「司馬遼太郎さん(故人)と話した時、こけしが話題になって、彼女(夫人)が興味を持って集め始めたんだよ」。夫人のこけし収集を知った人からの贈り物もあり、いつの間にか置き場に困るほどにもなってしまったという。

 台北日本人学校は今年、創立70周年を迎えた。記念行事などは予定していないが、曽夫人からのこけしは思わぬ70周年記念となった。重山校長は「特別な棚を作って飾ろうと思っています」と話していた。 (迫田勝敏)