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バンコク 心の優しさ“先進国”

2017年11月17日

 バンコクの満員電車の中、スマートフォンで音楽を聴いていた男性が、スッと席を立った。20代だろうか。私の傍らにいた3歳の娘に「座りなさい」と手招きする。

 9月初旬に赴任して数日後、街中を走る高架鉄道「BTS」に乗った時の出来事だ。子供に優しいお国柄とは聞いていたが、その後も娘と電車に乗れば、ほぼ毎回、席を譲られて、恐縮してしまうほどだ。

 残念ながら、日本では、同じような経験をした記憶がほとんどない。

 駅に設置されたエレベーターの数など、設備面での配慮は日本の方がずっと進んでいる。私が使っていた東京の地下鉄駅のホームにも、弱者優先がステッカーで表示されたエレベーターがあった。

 日常的に目にしたのは、通勤客がわれ先に、エレベーターに向かう光景だった。彼らの後ろで、お年寄りやベビーカーが順番待ちしているのを見て、腹立たしいというより、さびしい思いがした。

 ハードも重要だが、造れば終わりではない。「心の中のバリアフリー」について、考えさせられている。 (北川成史)

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