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ベルリン スカーフ禁止にNO

2017年11月20日

 モロッコ出身でベルリン在住の女性弁護士アボカルさん(44)から、依頼人のシリア難民の女性と一緒に闘っている裁判の話を聞いた。

 夫との離婚を求めて訴訟を起こした女性は、裁判官とも闘わなければならなかった。「頭のスカーフを外さなければ、訴訟は続けられない」と宣告されたからだ。女性は「自分の一部」というスカーフを外して出歩くことはできないと嘆いた。

 宗教を象徴する服装を理由に裁判が受けられないというのは不当だ、と2人は裁判を受ける権利を求め「最高裁まで争う。妥協はしない」と決心した。

 中東などから大勢の難民が入国して、イスラム文化と社会のあつれきが高まっている。スカーフを着ける女性は嫌悪の対象になりやすい。

 一方で、アボカルさんから事例を聞いた友人や法曹関係者からは、応援や裁判官を批判する意見が多く寄せられたという。

 最近、アボカルさんから笑顔マークつきのメールが届いた。スカーフを着けて裁判を受けられることになったという。長期戦を覚悟していた彼女の顔を思い浮かべ、うれしい気持ちになった。 (垣見洋樹)