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独ビュッヘル 核廃絶 見果てぬ夢か

2017年12月13日

 一面緑の丘陵地帯にひっそりたたずむ西部ビュッヘルの空軍基地。米国の核兵器が格納されたこの基地の前へ、核廃絶運動に取り組む地元の薬剤師コラーさん(74)が案内してくれた。

 彼女は30代のころ、豊かな自然に魅了されて付近に家を建てた。55歳のとき、雑誌の記事で核の配備を知ってショックを受けた。当時、世界は東西冷戦から「その後」へと移っていた。「そのうち核兵器は出て行くだろう」と思い、住み続けたという。

 それからは、希望と失意の連続だった。「核なき世界」を訴えたオバマ米大統領の登場、ドイツ連邦議会の核撤去決議、個人で訴えた核廃絶の行政訴訟。ふくらむ期待は「核抑止力は必要」といった理屈によっていつも退けられた。

 近年、米国とロシアの緊張は再び高まり、北朝鮮は核開発を誇示。国際政治の舞台では、核廃絶の機運はしぼみがちだ。

 昨年、ドイツで行われた調査で、85%が国内の核兵器を撤去すべきだと答えた。世論の追い風とは裏腹に、冷徹な現実が核廃絶の理想を阻む。コラーさんの20年越しの夢はいつかなうのだろうか。 (垣見洋樹)

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