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ニューヨーク 甘さの誘惑甘くない

2017年12月28日

 コーラ飲料だろうか。茶色い瓶の真ん中がたるのようにふくらみ、ジーンズのウエスト部分に乗っかったイラスト。「甘いものの酸っぱい側面」。ニューヨーク市の公共広告だ。ひとごととは思えず、地下鉄に乗るとついつい見入ってしまう。

 言わずと知れた肥満大国の米国。世界保健機関(WHO)によると、「過体重」とされる人が18歳以上の67.9%を占め10年前より6.6ポイント増えた。ちなみに日本は27.2%だ。

 健康対策として、砂糖や甘味料入りの清涼飲料水に「ソーダ税」を課す地方政府もあるが、業界団体や市民の反発で廃止に追い込まれる例も出ている。

 甘味料や高カロリーが食文化に根づいていると実感する。支局近くのハンバーガー店でハンバーガーといえばパティ2枚入り、カロリーは日本の大手チェーン店の2.7倍。店員が二の腕の肉を震わせながらポテトを揚げ、ふんだんに塩をかける。たっぷりの肉汁と辛めの味付け。ソーダが合うし、選べる飲み物は清涼飲料水か水だけだ。

 公共広告は「甘い飲食物を避けましょう」と呼び掛ける。だが、言うほど甘くはない現実が確かにある。 (赤川肇)