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ワシントン 真実求め戦う妻たち

2018年01月05日

 事故やトラブルが後を絶たない米軍の新型輸送機オスプレイ。17年前の墜落で死亡した操縦士の妻トリッシュ・ブロウさんと、副操縦士の妻コニー・グルーバーさんは今も、事故原因の真相解明を求めている。

 2000年のこの事故では、海兵隊のオスプレイMV22が西部アリゾナ州で墜落して19人が死亡。海兵隊は人的な操縦ミスが主原因と公表し、ブロウさんら遺族は「仲間の命を奪った」と非難されて苦しんだ。

 当時は開発段階で、機体の構造上の問題となれば、開発計画中止の可能性もあった。2人を支援する共和党のジョーンズ下院議員は「情報を改ざんして、操縦士に責任を負わせた」と長年にわたって追及。国防総省はようやく昨年、操縦ミスが主原因ではないと修正した。

 それでも、原因は判然とせず、議員の調査権を使って事故関連の情報を求めても、黒塗りされた1枚しか開示されない。「真実を知るために何年も戦い続けなければならないのは、ばかげている」とブロウさん。米軍を恨んではいないというが、いまだ不都合な事実を隠しているような軍組織へのやるせなさをにじませた。 (後藤孝好)