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カイロ クラクションで会話

2018年02月14日

 慢性的な交通渋滞のカイロ。自動車保有台数の増加や駐車場不足による路上駐車という根本的な問題はさておき、交通整理を行う規制が少ないのに驚かされる。

 中心部を除けば信号機が少なく、あっても動いていない。交差点は横断歩道や一時停止線がなく、車は方向指示器をほぼ出さない。どうやって交差点を通るのかというと、クラクションの出番。支局スタッフは「クラクションで会話しているから大丈夫」と言ってはばからない。

 歩行者が困るのは会話の方法が人それぞれだから。「ブー」と鳴らしっぱなしで速度を緩めないのは「これから進入するぞ」なので分かりやすい。だが「プッ、プッ」と2回鳴らすのは「お先にどうぞ」なのか「車に気を付けろ」なのか。運転手の顔を見て真意を測るほかない。

 エジプト政府も10月、重い腰を上げ、1973年以来の道交法改正で罰則強化などを盛り込んだ。2016年は1万6000人が事故の犠牲になった。世界銀行によると、カイロの交通渋滞は国内総生産(GDP)の3.6%を損失させるという。クラクションだけに頼れない事態になっている。 (奥田哲平)