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マニラ 歌声文化 外交に一役

2018年02月08日

 レジの端末を軽やかに操りながら、BGMに合わせて、ララ、ラーンと高い声で歌いだす。

 フィリピン・マニラのコンビニで、美声を披露する若い女性店員はご機嫌だ。地元の客が気に留める様子はない。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の取材で6日間の滞在中、似たような場面は街中のレストランでも、空港の売店でも出合った。

 フィリピンの人々が歌に傾ける愛情は強く、開放的だ。電器店には家庭用カラオケ機が並ぶ。休日にカラオケ機を囲み、近所にまで聞こえる音量で、18番を競う家庭もあるという。

 会議の開幕を祝う夕食会では、首脳らを前に、人気歌手が堂々としたステージを見せた。

 女性歌手が歌うタガログ語のラブソング「Ikaw(イカウ)(あなた)」では、ドゥテルテ大統領もマイクを握り、即興でのどを披露した。後に「トランプ米大統領の命令だった」と笑い、トランプ氏は「素晴らしい才能」と持ち上げたという。

 ドゥテルテ氏のオバマ前米大統領への暴言で一時悪化した両国関係は、すっかり改善。歌は友好ムードを演出する役割も果たしていた。 (北川成史)