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ソウル 若者発のマナー向上

2018年02月27日

 降車優先が徹底されず乗車客がわれ先に乗り込む、携帯で平気で話す、改札で長時間立ち止まる、通り過ぎる時にぶつかっても謝らない-。地下鉄マナーの日本との違いに、韓国赴任当初は大いに戸惑ったものだ。

 2年以上住むとさすがに慣れて、自らの行動も韓国寄りになってきたようだ。日韓のどちらが良い、悪いというよりは、考え方の違いと受け止めている。他人を不快にしないことを重視するのが日本式、自らのしたいことを優先する代わりに他人から迷惑を被っても気にしないのが韓国式と。ところが・・・。

 「いや、最近の若者は違うんですよ」。20代後半の韓国人は、私の見方を否定した。今の10~20代はこうした習慣を恥じてマナー向上に努めていると言い、彼は「若い人の行動をよく見て」と訴えた。

 確かに降車客を優先したり、人波をかき分ける時に「すみません」と声をかける姿は若者に多い。韓国式に慣れた私より丁寧な人もいるくらいだ。「韓国も成熟しつつあるんです」と胸を張る彼は、忠告してくれた。「上野さんは、日本に帰ったら注意した方がいいかもしれませんね」 (上野実輝彦)