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ワシントン 首都の足 放漫のツケ

2018年03月12日

 首都ワシントンの地下鉄は運行トラブルが後を絶たない。朝夕の激しい交通渋滞やトランプ米大統領の警備の通行規制に巻き込まれる乗用車の移動にも増して時間が読めない。

 先日も通勤で近郊の最寄り駅から乗車したら、間もなくトンネル内で停車。煙が発生して緊急点検を実施中で、ローカル線のような単線での運行となって遅れるとの車内放送があった。超大国の首都の足にもかかわらず、漏電や漏水、線路のトラブルが日常茶飯事で、時刻表通りなら20分程度のところを1時間以上かかることもある。

 運営する首都圏交通局が維持管理を怠ってきたのは、ワシントンの特別区や隣接するメリーランド州、バージニア州、連邦政府などの寄り合い所帯の公社で、無責任なお役所仕事を続けていたため。今後10年で設備投資に少なくとも155億ドル(約1兆7000億円)が必要だが、それでも漏水などの抜本的な対策には足りないという。

 財源不足の交通局は来年から、乗車カードが残額不足なら、改札を出られなくすると発表した。長年、運賃の徴収漏れも見過ごすほどの放漫さにはあきれ果てた。 (後藤孝好)