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モスクワ いただけない贈り物

2018年03月22日

 「新年おめでとう」というのが、ロシアの年末年始のあいさつだ。「メリークリスマス」というのは聞かない。ロシア正教のクリスマスは1月7日。ロシアでは年末まで働き、新年の10日前後が休暇となる。そのため新年もクリスマスもお祝いは一緒くたになっている。

 子どもたちへのプレゼントも1月1日の朝、家のツリーの下に置かれるのが通例だ。サンタクロースではなく「ジェド・マロース」(日本語で厳寒じいさん)という独自のキャラクターが配り歩く。

 白ひげや肉付きのよさはサンタ同様でも、服装がちょっと違ったり、雪の妖精を連れていたりする。民話から派生し、宗教が弾圧されたソ連時代に定着したとの説もある。

 モスクワの保育園や学校でもジェド・マロースを招いたイベントを見かけるが、年末の地元紙に「ロシアの複数の地方では保育園への招待を禁止した」との記事があった。

 読み進めると、園の職員がマロース派遣業者と結託し、親からの謝礼を懐に入れるなどの不正を防止するためという。汚職撲滅が課題のロシアだが、大人も「プレゼント」感覚ではいただけない。 (栗田晃)