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上海 「食物銀行」の楽しみ

2018年04月02日

 午前8時半、上海の住宅街にある集会場前で、10人あまりが行列をつくっていた。賞味期限切れが近い食品を無料配布するフードバンク(中国語で食物銀行)に集まってきた人たちだ。

 70代のおばあさんは「毎朝、公園で運動した帰りに来ているよ」と言う。並んでいたほとんどが、見るからに元気いっぱいのお年寄り。フードバンクって食品ロスを減らすのに加え、生活困窮者を支援することが狙いのはずでは・・・。

 スーパーや商店から持ち込まれた弁当やパン、カップ麺は10分ほどでなくなった。その後はお年寄りのおしゃべりが始まる。ここは社会活動の場というより、ほのぼのした社交場だ。

 1960年代に米国で始まったフードバンクも中国での歴史は浅く、上海では4年前に始まったばかり。居民委員会(日本の町内会)の女性役員(31)は「長く活動を続け、食品の無駄をなくしていきたい」と話した。

 中国ではメンツを重んじ、接待で食べきれないほどの料理を注文する。食品を大切にする意識を高め、この悪弊の変革につながるなら、本来の趣旨からちょっと外れた「食物銀行」にも意義はある。 (浅井正智)

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