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モスクワ パズルに込めた意図

2018年04月14日

 ロシア外務省が外国メディアを招く新年パーティーに参加した。普段コワモテのロシアの外交官たちと気さくに雑談する年に一度の会だ。お開きとなると出口で記念品を渡された。

 紙包みの上からの手触りは、なにやら額縁のようだ。プーチン大統領の肖像画でも入っているのかと期待せずに開けると、意外にもロシア外務省の外観を模したジグソーパズルだった。

 ロシア外務省は1950年代に建てられたスターリン様式と呼ばれる重厚なビルで、観光名所となっている。とはいえ、同封の説明書を読むと意図はそこにはないようだった。

 「外交の手順に無駄は要らない」「複雑な国際関係の組み立てをあなたの手で」と続き、締めには「平和とはパズルのようなもの 壊すのはたやすく、築くのは難しい」。近年、欧米との摩擦を強め、孤立することも多いロシア。ブラックジョークの効いた発想に思わず苦笑してしまった。

 計40ピースのパズルは、自宅で子どもと一緒に30分ほどで完成した。世界を悩ますタフなロシア外交のパズルは、これほど簡単には解けないだろうが。 (栗田晃)