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ミャンマー・ヤンゴン 言論の自由のうめき

2018年04月19日

 ネコが足元で毛繕いし、換気口に巣作りしたスズメがさえずる。厳粛たる法廷での光景だ。

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンのインセイン地区裁判所。イスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害問題の取材を巡り、国家機密法違反罪に問われたロイター通信記者らの公判を傍聴した。

 赤れんがの建物は英国植民地時代の100年ほど前に造られたとか。天井は剥げ、痛々しい。

 公判の行方を見守る報道関係者ら50人余りに傍聴が認められたが、席が足りない。やむなく、通路に置いてある高さ約40センチの謎の機械に座った。

 2時間が過ぎ、尻が痛くなったころ、突然明かりが落ちた。「停電か」。すぐに若い係員が近づき、私の「椅子」を持っていった。機械の正体は発電機。電力事情が不安定な同国では、裁判所でも必需品のようだ。

 他の傍聴者に席を詰めてもらい、居場所を確保したが、肝心の公判は、逮捕の妥当性をただす弁護側の追及に、出廷した警察幹部は核心をそらし続けた。

 事件の重さに、法廷の雰囲気も中身もそぐわない。記者の逮捕が続く同国。かび臭い建物で「言論の自由」がうめき声を上げていた。 (北川成史)

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