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香港 民主派苦境 でも自由

2018年04月26日

 「反DQ(失格反対)」「香港を守れ」。白いサインペンで書かれた文字が、長さ2、30メートル、幅2メートルの黒い布をみるみるうちに埋めていく。

 香港の立法会補欠選挙(3月11日投開票)で、民主派女性幹部の立候補が無効になったことに抗議するデモが香港政府本部前で行われた。警察発表で2000人が参加、熱気に包まれた。

 一方、同じ選挙区から立候補する親中国政党の女性候補の陣営は、事実上の選挙戦をスタートしている。オフィス街でのぼりを立て、おそろいのピンクのベストを着た運動員がビラ配りするが、手に取る人は少ない。マンション価格の高騰など政府に不満はあるものの「自分の生活が大事。選挙に興味ないのよ」と香港の友人は苦笑する。

 政府の締め付けに反発し公正な選挙を願う民主派と、中国復帰以降、高度な自治を保障された「一国二制度」の下、選挙や政治に無関心な市民とのギャップが根深いようにも見えた。

 とはいえ、民主活動家に対する取り締まりやインターネットへの規制が続く中国国内とは雲泥の差。北京から離れ、香港に来るだけで自由の尊さを実感できた。 (安藤淳)