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韓国・平昌 融和「演出」での忖度

2018年05月15日

 カメラを向けたとたん「だめだめ、撮らないで」と男性が遮ってきた。平昌(ピョンチャン)冬季五輪の閉会式会場で、北朝鮮の女性応援団に近づいた時のこと。男性は北朝鮮関係者かと思いきや、韓国人の五輪スタッフだった。

 変だな、と思う。応援団が訪韓した目的の一つは北朝鮮の宣伝であり、被写体になるのに抵抗はないはず。運営側が誤って忖度(そんたく)した気がしている。

 南北統一旗を掲げた入場行進や、アイスホッケー女子の合同チーム結成…。南北交流の政治的「演出」は大会のあちこちに仕掛けられていたが、現場では細かいちぐはぐも散見された。

 閉会式の観客席で隣に座った30代の韓国人女性は「若者は統一に関心がない」と断言。行進で南北の選手は2つに分かれ、肩を組んだり抱き合う様子はなかった。観客総立ちで音楽に合わせて踊り盛り上がった時も、北朝鮮応援団は座ったまま所在なさそうにしていた。

 もちろん、南北の人々が同じ空気を共有できたこと自体は成果だ。だが、和解ムードの押し売りはいらない。現実に即して一歩ずつ、ゆっくりと意思疎通を進めていけばいいと思う。 (上野実輝彦)

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