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タイ・プーケット 応戦するか逃げるか

2018年06月17日

 4月中旬、タイの旧正月ソンクランの休みを利用して南部のリゾートのプーケットに出かけた。ソンクランといえば、新年の到来を祝う「水かけ祭り」が有名。ホテル周辺の大通りを歩くと、ご多分に漏れず、四方八方から水が飛んできた。

 相手が外国人観光客であろうと、お構いなし。地元の人たちが通りの両側に待ち構え、バケツで水をぶちまけたり、ホースで勢いよく放水したり。水をかけるのは相手への敬意を示す行為といい、決して怒ってはいけないのがルールという。

 厄介なのが、大型の水鉄砲を持った観光客たち。ポンプを何度も押して内部の気圧を高めたら、10メートル以上離れたところからでも水が届く。こちらが走って逃げると、喜んで追いかけてくるから手に負えない。

 歩いて数分もたたないうちに、服やカバンはずぶぬれになった。携帯電話とカメラはケースに入れてあって無事だったが。

 路地で休んでいると、露天商の男性が不敵な笑みを浮かべて近寄ってきた。水鉄砲を差し出し「これを買って応戦しろ」。絶妙なセールストークに感心しつつも、丁重に断り、ホテルに逃げ込んだ。 (山上隆之)