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カナダ・トロント 多様性の力信じたい

2018年07月17日

 話を聞いた誰もが「この多様性の街でなぜ…」と口をそろえた。カナダの最大都市トロントの郊外で4月下旬、ワゴン車が歩道に突っ込み、25人が死傷した。その事件を取材したときのことだ。

 事件現場は中心街から約15キロの所。中国人ら新興富裕層が住むタワーマンションが立ち並び、大通り沿いには商店が軒を連ねる。地元テレビは「トロントの繁華街」と表現した。

 ナイジェリア人の男性(40)は事件を振り返って「近くにはキリスト教やイスラム教、ユダヤ教の礼拝堂や教会が同じ通りに並んでいる。それぞれの考えを尊重しあうのがトロントの良さなのに」と嘆いた。

 現場そばの広場では、花束やろうそくに加え、追悼のメッセージ板がところ狭しと並べられた。英語だけでなく中国語やハングル、アラビア語などさまざまな言語で書かれた追悼文が目を引いた。犠牲者の出身地もまた、韓国やヨルダン、スリランカなど多様だったという。

 トロントはあらゆる人種が集う共生の街なのだと、事件を通して実感したのが悲しい。犠牲者の追悼と街の再生を願い、合掌した。 (石川智規)

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