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ロンドン 挑み続ける「野田流」

2018年08月08日

 舞台上をところ狭しと駆け回る様は、とても62歳とは思えない身のこなし。「これでも年を考え(跳びはねる)縦の動きは控えているんです」。芝居直後に劇場のバーで会っても、息は上がっていない。

 劇作家、演出家、役者の野田秀樹さんのロンドン公演におじゃました。場所は若者が集まるソーホー劇場。近くには亡命中のカール・マルクスが住んでいたアパートもある。世界中の人材を引きつけてきた地だ。

 英語の喜劇だが、他の英国人俳優と息がぴったりで、観客たちは腹を抱えて笑い転げる。4度目の当地での公演ですっかり英演劇界に根を張った。

 だが聞けば、まとまったロンドン滞在は「夢の遊眠社」解散直後の1992年から1年間だけ。最初はアポなしで演劇のけいこ場の入り口に立った。入るかどうかためらっていると、後ろから来た男性役者に「ドン」と背中を押され転がり込んだのが始まりだったという。

 芝居が終わっても、劇場のバーで客と議論をするのが野田流だ。流ちょうな英語で語り合うその姿に、体を張って世界に挑み続ける活力と自信を感じた。 (阿部伸哉)

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