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北京 奥深いアイデア商品

2018年08月19日

 スマートフォンを自動で揺すり歩数計アプリのカウントを稼ぐアイデア商品が、大ヒットしている。

 メトロノーム大の機械の専用かごに載せたスマホを揺するだけで、1時間で6000歩近く増え、1晩で数万歩に達する。中国紙・北京青年報によると、ネットショッピングで700円前後で買えるため、1カ月1万5000個近く売れたという。

 中国は健康ブームで、運動がファッションになり、都市部にはフィットネスジムが至る所に。中国版LINE「微信」のモーメントで「こんなに運動した」と自慢げにアップするのも流行中という。「運動しなくても歩数を増やすことができる自堕落な商品」と最初思った。しかし、実は奥が深かった。

 ネット上には歩数増で「各種ポイントや賞品がもらえる」だけでなく「大学から『毎日1万歩以上歩いて体を鍛えるように』と要求があった」「環境保全の植林ができる」「少なくとも600日、1万歩以上歩けば生命保険の保障額が10%アップされる」などなど、トホホな理由が並ぶ。本末転倒だが、したたかで計算高い中国人の一面をまた垣間見てしまった。 (安藤淳)