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中国・九寨溝 父親は誰か関心なし

2018年08月28日

 世界的な景勝地・中国四川省の九寨溝(きゅうさいこう)で、チベット族の女性が経営するレストランに入った。食事をしていると、彼女の弟や妹たちが次々と現れ、歌や踊りを披露してくれた。

 きょうだいは40代半ばの長姉を筆頭に19歳の男女の双子まで11人。顔があまり似ていない人もいる。「チベット族は一妻多夫だから似ていなくても不思議はない」という長姉の言葉に、跳び上がるほど驚いた。

 母親の夫は2人いるという。19歳の末弟は「父親がどちらなのか知らないし、関心もない」と聞き、また驚く。

 長姉によると「男同士が嫉妬心を抱くことはないし他の女性と浮気することもない」とか。

 チベット族の一妻多夫は、1人の女性がある家の男兄弟全員と結婚するケースが大半で、限られた土地や財産を分割せず、受け継いでいくための知恵だという。共産党政権は一妻多夫制を認めていないが、政府の統制が届かない場所では、まだこの風習が残っているようだ。

 さて、この話をするとわが上海支局の女性中国人助手、「複数の男性に愛されるなんてうらやましい。私も一妻多夫がいいわ」。おいおい。 (浅井正智)