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英スランゲブニ 少数言語守り続けて

2018年09月30日

 英中西部ウェールズの北端にあるアングルシー島。スランゲブニにある8畳ほどの書店に並ぶ本は、絵本から小説まですべてウェールズ語。店主のディラン・モーガンさん(62)が「ここまで来るのに長い歴史があるけどね」と語りかけてきた。

 島は70万人ほどいるウェールズ語の話者が最も集中する地域の一つ、道路標識もウェールズ語が英語より上に来る。突然外国に迷い込んだ気分になる。

 ケルト系のウェールズ語はアングロサクソン系の英語とは異なる。16世紀にウェールズがイングランドに併合されると、外から資本家や労働者が流入し地元の言葉は駆逐された。

 根強い住民運動により公用語になったのは1990年代のこと。「ここの本の多くは学校の教材。若者に地域文化が継承されるようになった」とモーガンさんは店内を見回す。

 島には日立製作所による原発新設計画があり、地元行政は「雇用が生まれる」と歓迎する。だがモーガンさんは「外部からの人が急増し、また地域文化がないがしろにされないか」と心配する。この計画が、少数言語も押しつぶすことにならないよう祈る。 (阿部伸哉)

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