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上海 安心は離陸の後で?

2018年10月19日

 上海勤務を終えて、東京に帰任する他社の記者を、上海虹橋国際空港で見送った。

 空港まで行ったのは惜別のためだけではない。共産党政権に対し、しばしば厳しい論調を展開していた彼が、最後の瞬間に当局に拘束される可能性はあると私は恐れていた。万一、空港で異変があれば、私は在上海日本総領事館にすぐに連絡するつもりでいた。

 「何を大げさな」と思う向きもあろう。しかし、スパイ行為を働いたとして邦人男性が懲役12年を言い渡されたり、麻薬運搬罪で起訴された愛知県内の元市議の男性については、求刑から4年たった今も判決公判が開かれず、放置されたままだ。中国にとって「友好人士」と目される人物も拘束されている。

 日中関係が回復基調にあっても、日本への強硬姿勢が根本的に変わったわけではない。

 さて空港。搭乗が始まったのであろう、くだんの記者から機内の様子を撮影した写真と「ありがとうございました」のメールが来た。恐れていたことは幸いにして起こらなかった。それでも取り越し苦労だったとは思っていない。 (浅井正智)

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