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韓国・束草 望郷は甘いか苦いか

2018年09月26日

 ソウルから高速バスで東に約3時間。朝鮮戦争時に北朝鮮から避難したまま分断され、故郷に戻れなくなった「失郷民」が多く住む束草(ソクチョ)市の「アバイ村」を、休戦協定締結から65周年の機会に訪れた。

 南北対話が進み、約3年ぶりの離散家族再会事業も予定される現在。住民の期待はさぞ高いだろうとの想像は、あっさり裏切られた。公民館で取材に応じてくれた金基●(キムギンチョル)さん(80)は「俺たちは共産主義体制がいやで逃げてきたんだ。統一なんて考えもしない」と言い切った。

 市立博物館で失郷民文化を担当する鄭鍾千(チョンジョンチョン)さんによると、束草で今までに再会事業に応募した人はほぼゼロ。アバイ村は家族や親族全体で避難した人が多く、家族が残っていても「反動分子の家族」とされ、再会の可能性が低いのが理由とのことだった。会いたい場合は中朝国境に出向き、ブローカーを通して会うケースもあるという。

 38度線より北に位置し、北朝鮮料理のスンデ(腸詰め)や冷麺を観光名物にしながらも、故郷への気持ちは肯定的なものばかりではない。昼食はそのスンデ。住民の思いと一緒にかみしめた。 (上野実輝彦)

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