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中国・瀋陽 両脇からブルブル・・・

2018年10月10日

 日本では人前で、貧乏揺すりをすることを恥じる傾向がまだあるように思う。中国は違う。他人の目を気にすることなく、激しく足を揺する男性に出会うことは少なくない。列車や飛行機に乗り、近くで揺する人がいると、「隣に座られずに良かった」とホッとする。

 ところが、東北部・遼寧省瀋陽から北京行きの飛行機に乗った時、最悪の状況になった。いつも通路側の座席を選ぶのだが、その日はあいにく、3席並んだ中間しかなかった。

 座席に着くと、先に窓側に座っていたかっぷくの良い中年男性が左足をカタカタと揺すり始めた。男性が大股を開いて座っているので、彼の足が私の右足に密着する。太ももを伝って大きな震動が右半身全体を駆け回った。

 「えらいことになった」と動揺しつつも、眠ったふりをしていると、今度は左半身にブルブルと揺れを感じる。通路側に腰を下ろした若い男性までも、右足を揺さぶりだしたのだった。まるでマッサージチェアに座っているような感覚。北京到着までの約1時間半。泣きたくなるような気持ちを、必死にこらえ続ける旅になった。 (城内康伸)