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シンガポール 「主役」見定めが大切

2018年10月03日

 大型展示場に設けられたメディアセンターの一角に、記者の群がりができている。8月上旬、東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連会議の取材で訪れたシンガポールでのこと。近づくと、黒っぽいスーツの男性が数枚つづりの紙を配っていた。

 英語の表題には「李容浩(リヨンホ)外相の声明文」とある。北朝鮮が加わる数少ない国際会議のASEAN地域フォーラム(ARF)で、非公開の会議中に李氏が読み上げた主張だ。

 文書を得ようと必死の形相の韓国人記者らに、北朝鮮関係者らしきスーツの男性は「こちらの方がいい?」と淡々とハングル版を渡し、余裕を漂わせた。

 それは自国の核実験停止を「善意の措置」とするなど独善的だった。だが、南北や米朝の首脳会談後の融和ムードに覆い隠され、ARF議長声明も昨年は明記された「拉致問題」が消え北朝鮮への配慮がにじんだ。

 韓国紙は昨年の会議で孤立した北朝鮮と比べ「いじめられっ子から主演級に」と評した。端々で北朝鮮ペースが表れた会議だった。だが、非核化が実質的に進んだわけではない。雰囲気に惑わされず、変化を見定めようと自戒した。 (北川成史)

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