2018年10月29日

　英国で野球、といってもぴんとこないかもしれないが、ロンドンにも６クラブで競う草野球リーグがある。中学生の息子が世話になっているクラブには、レベル別に４チームできるほど多くの愛好者が集まる。

　リーグの一軍選手は米国、カナダ、カリブ海諸国、日本、台湾など野球大国の出身者ばかり。大リーグにテスト入団を申し込んだ猛者も。

　しかし二軍、三軍になると英国のほかスペイン、南アフリカといった失礼ながら「野球不毛の地」の方々も多い。連係プレーなど気にしない。サッカー場を改造した芝のグラウンドで思い思いにプレーを楽しむ。

　米国文化の影響かと思いきや、さにあらず。「あだち充の『タッチ』ですよ」。息子のチームの監督で英国人のマット・ブルースさんは、日本の高校野球を題材にした人気アニメを挙げた。マットさんは「本物を見たい」と夫婦で甲子園に行ったほどの入れ込みよう。

　するとキャッチャーのイタリア人も、セカンドのスペイン人女性も「私もアニメファン」と割り込んできた。英国に野球を輸出してしまうアニメの影響力に恐れ入った。　（阿部伸哉）