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ローマ デパートに付加価値

2018年11月02日

 観光客でにぎわうトレビの泉から徒歩3分、昨秋開店したデパート「リナシェンテ」。入り口に黒スーツ姿の黒人青年が立ち、チャーミングなショッピングアシスタントがお出迎え。地上8階、地下1階で、国内外800のブランドをそろえるとか。

 私はショーケースを横目に地下1階へ直行する。目当てはビル建て替えの基礎工事中に発見されたという古代遺跡だから。

 15のアーチ構造を持つ水道渠(きょ)の跡が眼前に現れた。そばのバールに座っていると、壁面全体に映像が映され、過去の修復箇所が示される。最後は水の流れを動線で表現し、遺跡が水道渠だったことが示される。

 紀元前19年、浴場のために建設された水道。現在も20キロ先の同じ水源池から、市内で一部水路を変えながらも、トレビの泉などに水を供給する唯一の古代水道でもある。

 遺跡発掘と保存の経費はデパートの負担だが、歴史的遺産の付加価値が加わった。レストランのある屋上からはサンピエトロ寺院が遠望できるが、近接マンションの住人は慣れ親しんだ眺望をデパートに遮られてしまい大憤慨。こちらはなんとも厄介である。 (佐藤康夫)

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