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北京 1週間の青空の下で

2018年10月31日

 「内戦後、助けてくれたのは中国だ。欧米のように内政に口出しもしない」。9月初旬、アフリカ53カ国が北京に代表団を送った中国アフリカ協力フォーラムの取材で来ていたアンゴラの若い記者に対中関係について聞くと、こう返ってきた。

 長い内戦を経験したアンゴラは石油資源に恵まれているが、石油価格の低迷から財政は苦しい。中国が途上国を借金漬けにしているとの批判を念頭に、若い記者はこうも言った。「確かに中国への頼りすぎは危ない。主導権を渡してはいけない」

 フォーラム開催中、アフリカをイメージした花壇や飾りが町中にあふれ、青く澄んだ空の下で映えた。北京で大型国際会議が開かれる際は、大気汚染対策のために工場の操業などが規制されるのが通例だ。今回も「アフリカブルー」と名付けられた青空が1週間ほど続いた。

 政府主導のアフリカブームに中国の人々はどこか投げやりにみえる。「庶民の生活は苦しいのに、なぜ大盤振る舞いするのか」との批判も漏れたが、大きな声にはならない。交通規制による激しい渋滞の車列で、規制が終わるのをじっと待つ人々の姿が印象的だった。 (中沢穣)