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ワシントン ノーベル賞も無関心

2018年11月20日

 過激派組織「イスラム国」(IS)の性奴隷にされた立場から、性暴力根絶を訴えてことしのノーベル平和賞に選ばれたイラク人女性ナディア・ムラドさん(25)。授賞発表の後、公の場で初めて話す機会として首都ワシントンでの記者会見がセットされた。大混雑を予想して1時間以上前に会場へ行った。

 だが、そこにはテレビカメラが設置されていたが、受付はなく、記者もいない。日本で記者会見があれば、会場に入りきれないほど関係者が駆け付ける。場所や時間が変更になったかと不安になりつつ待っていると、中東の記者らが徐々に集まったが、用意された約100席は最後まで空席が目立った。

 米メディアの集まりが悪い理由を考えると、当日が祝日だったことが一つ。また、米国では米国人が受賞しても報道は控えめで、ノーベル賞への注目が日本ほど高くない。会見のニュースは、地元のワシントン・ポスト紙ですら、電子版で通信社の記事を載せただけだった。

 ムラドさんはトランプ米政権や米国民に問題を訴える狙いもあって首都で会見したはずなのに、当地での関心の低さは残念でならなかった。 (後藤孝好)