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北京 お休みはつらいよ…

2018年11月18日

 建国記念日にあたる国慶節の休み期間中、中国では7億人が「大移動」し、観光地は人であふれ返る。留学時代、江西省の廬山(ろざん)を登った時、登山客の渋滞でこりごりして以降、国慶節は北京にいるか海外脱出していたが、今年は快晴が続いたのでレンタル自転車で巡ってみた。

 高層ビルが立ち並ぶ北京だが、天安門広場の東側に「東交民巷(とうこうみんこう)」という洋風建築が立ち並ぶ地域がある。1900年の義和団事件で包囲された旧大使館街で、日本をはじめ米英仏独などの公使館があった。今は北京市政府や公安部などが使用しているためひっそり。秋風の中、喧噪(けんそう)を避け、ゆっくり自転車をこぐと、心からリラックスできた。

 しかし、天安門広場に出てみると人、人、人。広場に入る安全検査は長蛇の列。周辺の地下鉄3駅は混乱回避で閉鎖され、歩き疲れた家族連れが道端に座り込む。イライラが募ってか、観光客らしい中年女性が警察官と大声で口げんかしていた。

 中国の観光地は「何もしなくても人が来るので環境整備が遅れている」といわれる。「休暇とは何なのか」と考えながら、その場から早々に退散した。 (安藤淳)